STEP 1

Q1関節リウマチの症状と考えられるものは?
(単一回答)

正解は4

関節リウマチになると、指やひざ、ひじなど全身のさまざまな関節に腫れや痛みがあらわれます。これら関節の異常は、多くの場合、手足の指や手首などの小さな関節にあらわれますが、足首、ひざ、ひじ、肩など大きな関節にもあらわれます。

また、関節リウマチの炎症による典型的な症状の1つとして「こわばり」があります。
「こわばり」は、朝起きた時にあらわれやすく、「朝のこわばり」と言われます。手が握りにくい、手足が動かしにくくぎこちない、体が重い、関節が自由に曲げ伸ばしできない、など人によって感じ方はさまざまです。こわばりは、体を動かしているうちに徐々に無くなっていきますが、炎症の度合いによって違いが見られ、ひどくなると午前中いっぱい続くこともあります。

関節リウマチになると、全身のだるさや微熱、食欲低下など、関節以外の症状もみられます。

(イメージ図)

Q2医師が診る圧痛関節の説明として正しいものは?

正解は1

関節の内側は滑膜という薄い膜でおおわれており、関節リウマチの患者さんの滑膜では炎症が起こっているため、関節の痛みや腫れが生じます。医師は関節を直接触って、腫れている関節(腫脹関節)、押さえたときに痛みがある関節(圧痛関節)を確認します。

「腫脹関節」、「圧痛関節」の数は、疾患活動性(病気の勢い)を評価する指標の構成要素です。疾患活動性の指標であるSDAI、CDAI、DAS28では、肩、ひじ、手首、手、ひざの28か所の関節について、「腫脹関節」、「圧痛関節」の数をそれぞれ確認し、記録します。

(イメージ図)

Q3血液検査のうち、関節リウマチの炎症の程度を示す
項目は?(単一回答)

正解は2

RFはリウマトイド因子の略で、血液中のRFの有無を調べる検査であり、関節リウマチの診断に用いられます。
RF陽性の場合は関節リウマチが疑われますが、関節リウマチであっても陰性の場合があるので、この検査だけでは関節リウマチと確定出来ません。

CRPは、体内で炎症や感染などが起こると肝臓で作られる「C反応性たんぱく」のことで、関節リウマチによる炎症の程度を確認します。炎症の程度が強いと数値が高くなります(正常値:0.3mg/dL以下)。疾患活動性を評価する指標の構成要素の1つであり、治療がうまくいっているかどうかの目安にします。

推定GFR(eGFR)は腎臓の機能をみるための検査です。関節リウマチによる慢性的な炎症や薬の副作用、さらに、加齢によって腎機能が低下することがあります。また、腎機能低下時に注意が必要な薬もあります。eGFRが60未満の場合、慢性腎臓病が疑われるため、定期的なチェックが必要です。

体内に存在する脂質であるコレステロールは血液中でタンパク質と結合してリポタンパク質になりますが、そのうちの1つがLDL(低比重リポタンパク質)であり、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割があります。LDLが増えすぎると動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞が起きやすくなります。

Q4関節リウマチでは、治療をせずにそのままにしておくと、
発症後1〜2年の早いうちに関節が壊れ始めることがある。○か×か?

正解は1

関節リウマチ発症後1〜2年で関節は急速に壊れ始めるといわれています。治療をせずにそのままにしておくと、関節が変形し、日常動作がしづらくなります。そのため、できるだけ早く適切な治療を開始して関節が壊れないようにすることが大切です。

治療を始めたあとも、定期的に関節の状態を検査します。そこでもし、異常が見つかっても、積極的に治療を変更することで、関節が壊れるのを最小限に抑えることができます。

(イメージ図)

Q5関節リウマチの治療内容は、患者さんと医師との
話し合いによって決めていく。○か×か?

正解は1

関節リウマチの治療では、「目標達成に向けた治療(T2T:Treat to Targetトリート トゥー ターゲット )」という考え方に基づき、患者さんと医師との話し合いによって治療目標や治療内容を決めていきます。特に、「目指すべき治療目標」や「目標達成のための治療方法」、「選択できる薬剤の種類」について、医師との話し合いで確認することが大切です。

また、T2Tを行う上で重要なことは、患者さん自身が関節リウマチの知識を身に付け、医師と治療目標を共有し、積極的に治療に参加することです。将来なりたい姿をイメージし、医師とよりよいコミュニケーションをとりながら、前向きに治療に取り組んでください。

STEP 結果

目標達成に向けた治療
(T2T)へ
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STEP 2

Q1「寛解」とは、炎症を抑える治療によって、
関節リウマチの疾患活動性(病気の勢い)が落ち着いて、
症状が治まっている状態である。○か×か?

正解は1

寛解は、治療によって、関節リウマチの疾患活動性(病気の勢い)が落ち着いて症状がおさまっている状態です。

関節リウマチでは、完全に治る治療法は確立されていないため、関節の痛みや腫れが改善して症状が落ち着いている場合でも、治癒と判断されることはありません。再燃(再び症状が現れること)する可能性もあります。それでも、治療がうまくいけば、寛解に導くことはできますし、それを維持していくことも可能です。このことが関節リウマチの治療目標になります。

Q2関節リウマチの治療の目標は、まず寛解を達成することである。○か×か?

正解は1

治療薬の進歩によって、今は寛解を目指せるようになっています。寛解を達成・維持する(臨床的寛解)ことで、将来の関節の損傷を防ぎ(構造的寛解)、これまで通りの日常生活を送ることができます(機能的寛解)。寛解に達した患者さんでも、疾患活動性(病気の勢い)が悪化すると関節の損傷が進む可能性があります。そのため、寛解状態を長く維持できるように治療を続けることが大切です。1)

疾患活動性を高い状態(中〜高疾患活動性)のままにしておいてはいけません。病歴が長い患者さんでは、寛解を目指すことが難しい場合もありますが、そのときは疾患活動性が低い状態である「低疾患活動性ていしっかんかつどうせい」が当面の目標となります。1)

1)竹内 勤 他、薬局 70, 5: 1125-1129, (2019)

Q3関節リウマチの疾患活動性(病気の勢い)を測るものさしに含まれる検査項目は?(複数回答)

正解は1〜3

疾患活動性を測るための「ものさし」として「SDAI」などの関節の診察を含む総合的な疾患活動性のチェック法が用いられ、図のような検査結果から算出します。

いずれも病気の勢いが弱く、症状が落ち着いているほど数値は小さくなります。それぞれ計算式が異なるため、基準となる数値が異なりますが、この「ものさし」を用いて疾患活動性をチェックし、目標となる数値に向けて治療を行います。

治療を始める前と後の数値を比べることで、治療がうまくいっているかどうかを評価できるので、治療内容を決めるのに役立ちます。

(イメージ図)

Q4関節リウマチでは、患者さんの自覚症状をVAS(バス)と
呼ばれる長さ10cm(100mm)のスケールを用いて評価する。
関節リウマチの症状がなく、体調が良いときのつけ方は?

正解は1

患者さん自身で関節リウマチの状態を自己評価するため、VASと呼ばれる長さ10cm(100mm)のスケールを使います。関節リウマチの状態について、体調が最も良い状態(症状がない)を0(左端)、最も悪い状態を10(右端)として、現在の体調(症状)がどのあたりか評価し、線の上に縦線を入れて、その数値を測ります。

関節リウマチの症状がなく、体調が良い時は、真ん中ではなく、左端寄りに線を入れるようにしましょう。

VASは、自身の体調を評価する有効な方法の1つであり、関節リウマチの疾患活動性(病気の勢い)を評価する項目としても使われるため、きちんとつけましょう。

Q5関節リウマチの治療内容を決める際に、
疾患活動性の他に、患者さんの情報として医師が考慮することは?(単一回答)

正解は4

関節リウマチの治療目標や治療内容は、患者さんと医師との話し合いによって決められます。

通常の診療において、疾患活動性の評価だけではなく、関節の損傷が進んでいないか(X線等の画像検査)、また、日常生活動作がどの程度制限を受けているか、他の疾患があるかなども考慮して、治療内容を決定します。

より良い治療を行うため、医師は限られた診察時間の中でも、患者さんとのコミュニケーションを通して、治療に必要な情報を得たいと考えています。患者さん自身が積極的に治療に参加することが大切です。関節リウマチの治療において気になることや「いつもと違う」症状があった時、あるいは、今後やりたいことなどがあれば、医師や看護師に話してみましょう。